民法改正

遺留分制度に関する見直し

民法

遺留分減殺請求から遺留分侵害額の請求権へ

旧民法では、遺留分減殺請求権の行使によって物権的効果が生じ、遺産である不動産や株式等について共有関係が生じていました。改正民法では、遺留分に関する権利の行使によって遺留分侵害額に相当する金銭債権が生じることになりました。

従って、遺留分侵害額の請求を受ける方は金銭債務が生じることになります。

所得税・住民税

改正後の遺留分侵害額請求権の場合の課税関係

遺留分侵害額の請求に対して金銭の支払をした場合には、所得課税及び住民税の問題は生じません。しかし、その金銭の支払に代えて、土地等の資産を提供した場合には、金銭債務の対価として代物弁済したことになるため、譲渡所得として課税されることになります。

今回の民法の改正を受けて以下の所得税基本通達が追加されました。

(遺留分侵害額の請求に基づく金銭の支払に代えて行う資産の移転)

33-1の6 民法代 1046 条第 1 項≪遺留分侵害額の請求≫の規定による遺留分侵害額に相当する金銭の支払請求があった場合において、金銭の支払に代えて、その債務の全部又は一部の履行として資産(当該遺留分侵害額に相当する金銭の支払請求の基因となった遺贈分又は贈与により取得したものを含む。)の移転があったときは、その履行をした者は、原則として、その履行があった時においてその履行により消滅した債務の額に相当する価額 により当該資産を譲渡したことになる。

(遺留分侵害額の請求に基づく金銭の支払に代えて行う資産の移転)

38-7の2 民法代 1046 条第 1 項の規定による遺留分侵害額に相当する金銭の支払請求があった場合において、金銭の支払に代えて、その債務の全部又は一部の履行として資産の移転があったときは、その履行を受けた者は、原則として、その履行があった時においてその履行により消滅した債務の額に相当する価額により当該資産を取得したことになる。

この改正は、令和元年 7 月 1 日以後に開始した相続に係る遺留分侵害額の請求があった 場合について適用されます。